利益(profit)又は報酬(reward)【G4】

 

 これらの四つの三角形を考察する場合、我々は第四図(G4)を最初に考察することにしよう。

 

利益(profit)又は報酬(reward)――利益又は報酬に含まれる

物質的要素と高次元の精神的要素       
三角形第四図
G4は、「得ること」Getting)又は受け取ること、という概念、すなわち、「取得の一般概念」の前提条件を論証するためのものである。  

真中にあるHの文字は「幸福」Happiness)を表す。

 

そして、この幸福こそ全ての人間が、意識的かつ科学的にこれを希求しようとするか、それともまたは、知らずして、かつ無意識的に、これをさぐり当てようとするかを問わず、真にこれを取得しようと望むものなのである。

L」、「C」、及び「M」なる文字は、「幸福」又は「満足」(Content)という合成物を取得するため、必要不可欠の諸要素を示すものである。

 

 この三角形の左にあるLなる文字は、「同僚の愛」Love of fellowman)を表す。もしたまたま、この用語は余りにも感性的すぎて、科学的表現にはなじまないと考える者があるならば、これを「他者の畏敬の念」と呼んでも良い。 

仲間から嫌われたり尊敬されたりしない者は、決して幸福になれない。

 

 この三角形の右側にあるCなる文字は、「良心」Conscience)を示す。もし、好みによっては、「自尊心」と表現した方が良いという向きには、それでも良い。

この「良心」、「自尊心」は同僚の愛と同時に、幸福、又は満足に必要不可欠の自然的要素である。

 

三角形の底辺にあるMなる文字は、「金銭」、つまり、物質的富、物質的な必要性、利便や、物質的富がもたらしてくれる贅沢------賢明に用いればであるが------等の象徴である。

 

 潤沢な他者からの友愛又は尊敬や、一点曇りのない良心又は自尊心や、自分の友人との毎日の取引の結果として、潤沢な物質的富を得る者は、少なくとも一定の幸福の状態にあることになる。

 

これには、当然のこととして健康が含まれていることは言うまでもない。しかも、この点は、先行的原因〔訳者註:前提のこと〕であることについては、後に触れる通りである。

健康は、「奉仕の原因」である人力man-power)に該当する諸要素の一つである。したがって、我々は、ここでは「報酬」又は「利益だけを考慮することとする。

 

 奉仕哲学における「利益(profit)」という用語には、金銭を含むと共に、金銭がもたらす幸福感をも、包含するのであるから、金銭などの問題にならないくらいのものをも表す。

 

《利益は、ただ単に、「物資的富」だけにとどまらず、「同僚からの愛」と「良心」という高次元の精神的価値をも、また含んでいるのである。

 

 そして、まさにこの点で、我々には誤った信条が一般に広まっており、その信条に基因する邪悪な結果を、広く及ぼしているという問題に、当面しているのである。

 

つまり、それは極めて多数の人たちの間に広まっている信条であって、

一つの道は、物質的な富に通ずるし、あるいはまた、多額の金を「儲けること」に通じているのであって、

上記の高次元の精神的価値を取得することに通ずる道は、それとは別の岐れ道なのだ、とするものである。

 

しかしながら、このことは真実ではない。

事実は、この一本の「道」が、「L」(同僚の愛・他者の畏敬の念)、「C」(良心・自尊心)、「M」(金銭・物質的富)の三つのすべてに通じているのであり、そして、この道こそ、“奉仕”と言われるのものである。

 

然り(その通である)。

「最善の奉仕の心で行動する者は、最も多くの利益を得る。」のである。

《取引の相手方に、最善の奉仕の心で行動する者には、ただ単に、物質的取得「M」においてのみならず、高次元の精神的価値「L」・「C」においても、「利益を受け取る」のである。》

 

商業の場において、顧客に対して優れた奉仕を行うことのみが、顧客の恒久的利益を、したがって、発展的に与えてくれる愛顧を、確実に受け取る道があるのである。

またこれを除いて、顧客の尊敬と、「夜の安眠」を可能にする良心〔訳者註:信頼感のこと〕とを確実に得る道はないのである。

 

 人生は、“海の如きもの”である。

それは、ギブ・アンド・テイクの、絶え間のない潮の満ち干に、身を任せるのである。

この「与えること」【奉仕】であり、「受けること」【利益又は報酬】である。

しかし「与えること」が「受けること」に先行すること、恰も、種子が取り入れに先行するのと、全く同様である。

 利益を「受ける」科学は、奉仕を「与える」科学に他ならないのである。

 

良き奉仕の自然的要素【G3】

 

しかし、奉仕、つまり「利益」の原因とは何なのであろうか。

奉仕、つまり「利益」の原因に含まれる自然的要素は何なのか。

商業に関心を引きつけ、かつこの業界全体に、継続的に利益を増大させるような愛顧の気持を、確実に保障するような種類の奉仕を行うためには、一体何をなすdo)ことが必要なのか。

・使用人が、自分に対する賃金を改善し、自分の希望する昇進を「させたい気持を起こさせ」、又は、「魅力を感じさせる」ために、使用主に対して、「どのような種類の奉仕」を行ったら良いのであろうか。

・使用主は、正しい種類の使用人の心を捉え、使用人の労務の提供を、恒久的なものたらしめ、労働力交替という経費の無駄を減少させるような、体制づくりをするためには、何をしなければならないのであろうか。

 

このような分析から、我々は人生の三角形図式、つまり、第三図(G3)に目を向けなければならないのであり、これからこの点を考察することとしよう。

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二等辺三角形:  H