A Talking Knowledge of Rotary

(ロータリー通解)

ガイ・ガンディカー著

小 堀 憲 助 訳

 

ロータリー運動にも幾つかの潮流があり、そのいずれにおいても隆盛、衰退の時期があった。そのなかで、ロータリーの説くいわゆる“職業奉仕”の理念が著しく純化され、それが文章の形で、著されんとしたのは、1908年から1915年にかけてのことであった。

 

その頂点は、1915年のサンフランシスコ大会の議決によって、宣言された『ロータリー倫理訓』Rotary Code of Ethicsである。

このような時期に当たって、ロータリーの基本理念と原則を、一冊のパンフレットの形で著す企てが、国際ロータリー理論及び教育委員会Committee on Philosophy and Educationによってなされた。

この委員長が、フィラデルフィア・ロータリークラブの会員で、レストラン経営を職業分類とする、ガイ・ガンディカーGuy Gundakerである。

 

我々は、ロータリーをエンジョイするためには、やはり正しいロータリー情報の普及が必要である。ガイ・ガンディカーのパンフレットは、今までロータリーに、さした生きがいを見出しえなかった人たちに、反省の機会を与え、ロータリーの説く『職業奉仕』が、

各会員の自己改善の出発点を提供し、それがひいては、職場に夢と潤いを与え、各自が正当な利潤と幸福とを得て、やがて職場の潤いが、社会全体の潤いとなるものと確信する。

 

ガイ・ガンディカーは、ペンシルバニア州出身で、コーネル大学、ペンシルバニア州立大学法学部を卒業し、1902年に弁護士登録をしている。その後、レストラン経営に転じ、フィラデルフィアのクグラー洋食店の社長に就任したばかりでなく、全米レストラン協会を結成したり、他の同業組合の結成に力を貸している。

 

ロータリーにおいては、フィラデルフィア・クラブの創立会員であり、その後会長を務めた。また、エバンストンのRI本部建設委員会委員長として、活躍した。その他、全米商工会議所のレストラン業者代表として長い間活躍した。

ガイ・ガンディカーは、その理論的功績のゆえに、1923~24年度のRI会長となり、関東大震災のときの、RIの義捐金25,000ドルは、彼の名において送られてきた。したがって、彼はわが国とも無縁ではないのである。

 

ロータリー・クラブの構成と諸目的

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ロータリー・クラブは、各職種の企業または専門職業から、選ばれた者を以って構成し、かつ、次に掲げる諸目的を、達成するために組織されたものである。すなわち、

 

第1.会員個々人の“向上”。

第2.会員の企業を、理想と実際の両面において、“向上”せしめること。

第3.会員の属する職種全体の“向上”。

第4.会員の家、町、州、及び国、ならびに社会全体を“向上”せしめること。

 

 

各会員の個人的向上

 

各会員に対して、ロータリーは次のような活動を行なわしめる。すなわち、

 

1.自己の企業経営の体験を、交換し合うことにより、互いに見識を広めること。

2.自己の思想の限界を自覚し、転機を得さしめること

3.他者への奉仕の気持ちを、涵養せしめること

4.自己発展の機を、最大限につかむよう助力を与えること

5.各自を、社会の指導者たらしめること

 

 

理想・実際の両面にわたる会員の企業の向上

 

実際面において、ロータリーの活動から、各会員間に親密な付き合いが生まれ、これを通じて、取引き増加の機会が与えられる。ただし、与えられるものは、ただ『機会』だけだという点に注意のこと。

 

会員が、会務に参画することによって、他の会員達の信頼を得、そしてこの【信頼】という、企業にとって最も大切な資産の基として、優れた商品・正しい価格とサービスに努めるならば、各会員のもつこの機会は、しばしば多くの結果を生み出すのである。

 

ロータリアン同志の取引は、ロータリーの義務ではない。------その本質ではない。------またロータリーの存在理由でもない。------ロータリアン同志の取引きは、ロータリーの付随的要素にしか過ぎないのである。

 

理想面においては、各会員はロータリーに加わることによって、企業の正しい経営方法と、倫理性の高い商法を体得できる。ロータリーにあっては、理想とは、単なる夢の彼方にあるものではなく、各会員の日常生活で、実践すべき生きた手本なのである。

 

ロータリーの理想は、各会員の個人生活にも、また企業経営にも、均しく実践できるものである。

ロータリーの理想は、職業倫理の全体に及ぶばかりでなく、いわゆる『奉仕』なる概念を、構成する“すべての場”に及ぶのである。

幸いにも、各会員の企業に関する経営方法と理想とを示す、ロータリーのスローガンとして次のものがある。いわく、

Service, Not Self.(奉仕だ、私利私欲ではない)

He Profits Most Who Serves Best.(儲けんと欲すれば、まず奉仕に徹せよ。)

 

このように、各会員の心のみならず、各会員の企業経営の精神にも当てはまるところの、このロータリーの活動こそ、そもそもロータリーの創立者が考え、そして、その後継者たちが、その初志を追求してきたところのものなのである。

 

ロータリーの理論に基づく、インスピレーションの結果として生ずるところの、いま一つのロータリーの活動があり、これを『ロータリーの実践』と呼ぶ。

各会員が、ロータリーの経験を積み重ね、勉強を重ねていくにつれて、何かやってやろう、つまり、いわば後世に残るようなものとして、何かやることはないか、という気持ちになってくる。

 

各会員の教育が、十分に行われたならば、あたかも昼の後に夜がつづくように、『ロータリーの実践』が始まるのである。このロータリーの実践においては、各会員は2つのはっきりした奉仕の分野に、立ち入らなければならなくなる。

 

 

 

会員の属する職種全体の向上

 

ロータリアンは、ロータリーから、それぞれの職業分野に送られた代表者である。それぞれの職種に、ロータリーの理念たる職業倫理と奉仕とを、普及させることによって、各会員の属する職種全体を向上させることができる。

ロータリー・クラブ会員が、ロータリー精神を帯し、自己の企業経営をロータリーの理念に即して、行うようになったときにも、なお、その故をもって、ロータリーに属していない他の同業者にも、同じ行動をとるよう、働きかけるべき義務を、免れるものではない。

全ロータリアンは、自分の奉仕に由来する義務を、このような面で果たさなければならないのであって、この態度こそ、企業界全体を潤すことになるのである。

これこそ正に、ロータリーの最大の奉仕の『機会』なのである。

 

 

 

会員の家、町、州、および国ならびに社会全体の向上

 

以上、述べてきたような、諸々の向上を行おうとするロータリアンの活動は、当然のことながら、【市民生活】と【慈善行為】との2つの主な活動分野で、おのずから実ってくる。

 

ロータリーの世界は、各会員をより良き市民、より良き商工会議所会員、より良きアメリカ人、カナダ人その他の国民たらしめるようしつけることである。

 

地域社会の動きについては、細大漏らさず、ロータリーの会合において、自由な討議を行わなければならない。

また、クラブ役員は各会員に対して、地域社会向上のため、積極的に加われるよう、知識と知恵とを授けるようにしなければならない。

 

一般的に言えば、ロータリアンの、地域社会に対する関心の顕れは、ロータリー・クラブの名を用いる活動というよりは、むしろロータリアン個人としての活動、または、商工会議所会員としての活動の、形をとらなければならない。

しかしながら、特殊な場合においては、社会奉仕のため、ロータリー・クラブが団体行動をよる必要がある場合もある。だが、このような団体行動をとるに当たっては、事前に最も慎重な配慮をなさなければならない。

 

ロータリー・クラブの活動は、いずれの都市にも存在する、多くの専門事業団体の事業と、重複するようなことがあってはならない。

 

各政党が態度決定を行ったような問題については、ロータリー・クラブはその賛否の意思決定を、行ってはならない。この禁止は、明らかにロータリー・クラブ内に存在する、尊い友情を守るためである。

 

ロータリーの、慈善事業の分野でのことどもには、これといった制限もなく、また積極的にこうすべきだ、と述べるべきこともない。したがって、この種の分野では、千差万別な慈善活動を行うことが出来るのである。

 

 

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ロータリーには、他のクラブにはない特徴があり、その特徴は主として教育的性格にある。ロータリーが他の団体と異なる点は、

 

1.限定会員制をとる点、ならびに、

2.各会員と、各会員の企業とにわたる活動を、行う点、ならびに、

 3.各会員に、各自の職種に職業倫理向上の念を、植え付けるべき義務を課す点にある。

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  ロータリーは、1905年に、特に基礎となる論文もなく、インスピレーションから生まれた。そのとき以来、ロータリーについては多くの所説が著され、幾つかの先例が確立された。

 

常に念頭に置かなければならない重要なことが2つある。

1つは、「ロータリーの会合で、酒気を帯びて論議を行ってはならない。」ということである。

第2の先例は、「ロータリーの会合では、発言者は無意味な冗談を話してはならない。」ということである。

 

この先例のおかげで、下品な話が出来ないだけでなく、聴衆が卓話者に対して、発する皮肉交じりの反論をも、避けることが出来る。

 他にも沢山の先例がある。しかし、この2つほど強く認められたものはない。

 

 

  ロータリーに対して自らを与えよ。

 その限りにおいて与えられん。

 与えるものを超えて与えらるることなし。